岡本太郎展

東京都美術館で開かれている「岡本太郎展」を鑑賞してきた。

かなり楽しみにしていた。



コロナ対策のため、入場時間制の予約チケットになっている。

金曜日に午後休みをいただき、会社から上野に向かう。



会社からの移動時間ギリギリのチケットを買ってしまった。

急ぎ紅葉に色づく上野公園を横切り美術館へ。結構久しぶりだ。

美術館のロッカーに荷物を放り込み、入場。

入り口で音声ガイド(阿部サダヲさんが案内)を忘れずに借りる。



暗く照明を落とされた入り口を入ると、

空中に光のオーラを放つインテリアが浮かんでいる。

正面には頬杖をついた大きなモニュメントが

嬉しそうに入場者を眺めている。



1階は、大きな絵画や立体作品など

岡本太郎らしい作品が並ぶ。

こういう可愛いやつが登場する



そこかしこでスマホのシャッター音が聞こえてくる。

不思議に思って入り口まで戻って注意書きを探してみた。

撮影してはいけないアイコンが無い作品については「撮影どうぞ」ということらしいが、

いやいや、逆に撮影してはいけないアイコンて、どこに有るの?

まさかの「ほぼ全部の作品が撮影可能」という。

展覧会を回ると岡本太郎の思いがわかり唸ってしまった。

これ、教科書に載っているやつ



2階フロアは、岡本太郎の人生を追う展示になる。

子供の頃に父の都合で移り住んだフランスはパリで、芸術家を志すことになる。

戦争の影が迫り、帰国するのだが、

その時に持ち帰った全ての作品が出兵中に空襲で焼けてしまう。

なので、ヨーロッパ時代の作品は一点も残っていないといわれていた。

しかし近年、最初期の太郎作とされる作品が3点、発見されたという。

真贋鑑定中とのことだが、ほぼ真作らしい。



その3点が展示されていた。



なんか。

繊細で、暗く、深い瞑想のような作品だ。

外へ溢れるような感じではなく、深く、潜っていくような抽象画。



やがて日本で、日本人の魂の表現を発見し作品を制作。

岡本太郎の芸術になっていく。

そして、誰しもが知るあの

「太陽の塔」へと、あるいは「明日の神話」へと結実する。

今や日本最大のパブリックアート
これくらいの大きさのを庭に置きたい
第五福竜丸を題材に
左の線画がこうなる
さらに変化していく
ラフスケッチ!すごい!
これ下絵!下絵の大きさじゃない!すごい!



岡本太郎曰く。芸術は全ての人の心にあるという。

「芸術は大衆のものだ!」

なので、パブリックアートは積極的に制作するも

岡本太郎は自分の作品は売らなかった。

買われることで誰かの所有物になることをヨシとしなかった。

だから今回の展覧会。全ての作品は「撮って良い」のだ。

こどもの樹
建物の建て替え?と共に壊すと言われていたが「保存」が決まった



しかし、撮影してみてわかるのだが

撮影した画像データなんて、ただの情報にすぎないな。

こうして実際に作品の前に立つと、その色や形、筆の動きまでもが迫ってくる。

エネルギーが溢れ出す。たしかに「爆発」だ。

「どうだ! 何か感じないか! それが芸術だ!」

そう言ってニヤリとする岡本太郎がいるようだ。



晩年、発表こそしなかったものの、創作意欲は衰えることなく

新たな表現の境地へと邁進し続けていたそうで、過去の作品を踏み越えていくような作品が続く。

展覧会の最後は、最期の、未完の作品「雷人」が入場者を見送る。

(音声ガイドの最後も良かった。グッときた)



そのパワーたるや。

それまで黒々と深い闇を称えた「目」を描いてきた太郎。

闇より深い奥の奥から、「光」が溢れ出そうとしているではないか。

(会期、12月28日まで)

文責:やまだ

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