おやすみなさい。良い夢を。

今年の夏、初めて東京国際ブックフェアに行って参りました。
お台場にある国際展示場の広い空間に、とにかく本、本、本。
図鑑や絵本や洋書など、様々なジャンルの書籍を
つまみ食いをするようにちょこちょこ楽しみながら歩いていたら、
装幀コンクールというコーナーに辿り着きました。
そこには造本装幀コンクールの入賞作品が並んでいて、
どれも目の覚めるような、素敵な装幀の本ばかり。
そこで今回紹介させていただく本、
『おやすみなさい。良い夢を。』を見つけました。

手にした瞬間、お気に入り決定。
うまく言葉にできませんが、装画も、紙も、重さも、
すべてがタイトルの『おやすみなさい。良い夢を。』という言葉に
「ピタッ」とつながっているような感覚です。
そして帯が上がっちゃってるなと思って下ろそうとした時、ハッとします。
カバーと帯がひとつの紙で、折り返されているのです。
この宙に浮いているような無重力感も、
ふとんに包まってうとうとしている時間とそっくり…(のような気が)

他にも、花切れがパジャマの柄のようで可愛かったり、
のどに控えめに色が差してあったりなど、
嬉しくなってしまうアイディアが随所に散りばめられています。

これだけ盛り沢山だと押し付けがましくもなりそうなのに
そうなっていないのが不思議ですが、
様々なアイディアが集まったその中心に
『おやすみなさい。良い夢を。』という言葉が
芯のようにすっと一本通っているからではないかと思います。
が、本当のところはどうなのでしょう…?
たくさんのアイディアをまとめる方法、とても気になります。
デザイナーの方にお聞きしたいところです。
ところで、そのデザイナーさんに関しましてもうれしい驚きがありました。
私が以前にお気に入りとして紹介させていただいた『ku:nel』と、
今回のお気に入り、どちらも有山達也さんが関わられているデザイン!
気づいたのはつい最近。「あ~やっぱり惹かれてしまうんだなあ」と、
うれしくて、ちょっとくやしいような気もする発見でした。

『おやすみなさい。良い夢を。』というタイトルですから
もちろんベッドに横になって読んでみました。
すると、ふんわりした軽さは腕を疲れさせないし、
帯がずるずると落ちてくることもないし、
ゆったりした文字組は気持ちを落ち着かせてくれる。
やっぱり、「ピタッ」としていますね。

文:田島

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