キギ


最初は、1枚のフライヤー。

 

「オリッサ・オディッシー 東インドの踊りと暮らし展」という

展示会の開催を伝えるそのフライヤーは、

早くも無難なデザインのマニュアルを探し始めかけていた私の目には、

はっとするほど鮮やかに映りました。

 

デザインには正解がないからこそ、いくらでも面白くなる

 

そう教えてくれたこのフライヤーをデザインされたのが、

植原亮輔さんでした。

 

 

 

次は、昨年gggで開かれた「TDC展」。

 

様々なタイポグラフィ作品の中に、

渡邉良重さんの「12 Letters」がありました。

 

一度触れたら忘れない、やさしくて、どこかひっそりとした、

渡邉良重さんの美しい世界。

渡邉さんの作品も、ものをつくることの喜びや、

自由であることの面白さをはっきりと感じさせてくれるものでした。

 

 

 

そうして私にとって自由の象徴となっていたお2人が、

「キギ」として再スタートされました。

 

その出発点である今回の「キギ展」には、今までにお2人がそれぞれ、

あるいは一緒に取り組まれた作品が会場に所狭しと展示されていました。

そのどれもがユニークで、じっくり見ていたいものばかり。

 

しかしファンの多いお2人の展示会は当たり前に訪れる人も多く、

ひとつの作品の前に何分も、というわけにはいきません。

帰り掛けには迷わず作品集を購入しました。

 

 

実際に貼り重ねているようにしか見えないコラージュ風のカレンダー、

透けることで展開していく絵本、

シャンプーの詰め替え用パッケージから生まれた花瓶、

鏡の映りこみを利用したカップ&ソーサーなどなど

 

キギの作品集を眺めていると、

植原さんのフライヤーや渡邉さんの作品を目にしたときの

わくわくした気持ちがよみがえります。


 

そして本を閉じたときには、

「やっぱりデザインは面白い!」と、

にんまりしてしまうのです。

 

 

(巻末には植原さんと渡邉さんへのインタビューも載っていて、

「キギ」という名前の由来や、お2人のデザインへの考えなど

とても興味深いです。気になる方はぜひ。)

 

 

 

文:田島

 

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