ペーパークラフト

1975年、ドイツのペーパークラフトの絵本を、日本人向けにデザインした僕はまだ卒業して4年しか経っていなかった。40頁そこそこの小さい物語絵本であり、仕事場から帰ると,数ヵ月に渡ってイラスト描きとレイアウトに悪戦苦闘していた。原型となるドイツの型紙は、切り抜いて糊で留めると人間や動物が見事に立ち上がってくる。今見てもすぐれたデザインだと思う。教会学校の生徒たちと何回作ったことだろう。たまたま、出版社の社員が倉庫の片隅から当時の版下を持ってきてくれた。

37年ぶりの再会であったが、糊がはがれ,版下はさすがにばらばらだった。そこで,スタッフと共に第一番目の人形である「天使」をみんなで拵えてみた。当時、なるべく素朴な味わいを遺すために、タッチのある水彩画用紙に水溶性のマーカーで重ね塗りして着彩したのを覚えている。みんなでわいわい がやがやいいながら工作してみた。おかげさまで事務所には守護天使7人が、わたしたちをにこやかに見守っている。


 

堀木一男

 

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