美術の物語

芸術系の大学を出てはいるのですが、
いわゆるテストの点が優秀な学生ではなく、
常識とされているような芸術作品にも
若干怪しい事が多々有るような
「ホントに美大生だったの?」という
「ちゃらんぽらん」です。
 
とにかく、「作品」を見て感じるコトが大事なんだ
と、決めているので、
展覧会に行ってもなるべく頭の中を
空っぽにして鑑賞するようにしています
(勉強、研究、知識を得るためなどの場合は別ですが)。
可能なかぎり、キャプションを見ない、読まないように。
(それでもつい、目が行くのですが)
 
一番最後の作品まで鑑賞してから、
心に残った作品の前まで戻り。
もう一度鑑賞するような。
自分の感動重視の鑑賞方法です。
 
目録を必ず買うので、キャプションや解説はその時。
復習のような気持ちでおさらいするくらいで。
鑑賞中は可能なかぎり耳も塞ぎたいくらい。。。
 
とは言うものの、
 
そろそろ一般常識的な「美術」についての知識が
身に付いていても良いだろうし、知らないとはいえ、
バラバラとした知識は身に付いている。
今度は、そういった知識を線で繋ぎ、
広く絵巻のごとく「美術」を眺めてみたい
という気持ちになっていた。
 
そんな中、まさに美術を総合的にとらえ、
物語ってみせる本が有った。
 
それがこの「美術の物語」。

 
2007年に翻訳されたモノだが、
原本は1950年に発刊され、16刷を越え、
累計700万部を超える大ベストセラー。
E.H.ゴンブリッチ著
 
語り口は大学の講義。
一点一点スライドで映された作品を見ながら、
著者、ゴンブリッチによる分かりやすい解説。
有名無名の画家から、有名無名の作品、またはスケッチ。
西洋中心ながら、やはり東洋の影響が及ぶ時代には
東洋の作品にも触れ、原住民の祭事用具から
近現代の芸術作品。平面から立体。彫刻や建築まで網羅。
所々ジョークも混じる面白講義が連綿と延々670頁以上。
 
まだまだギリシア美術までしか読み進めていないが、
これは面白い。
 
そもそも芸術。美術はいかにして芸術。美術になったか。
という話から。さらにそもそも、芸術、美術となるモノは
いかにして作られるようになったのかという話。
 
そして、その物語が語られ始める。。。

 
学校の授業で教わり、覚えている「点」。
主に「テストの回答欄」的作品や、用語が、
スルスルと絵解きされて行く。
「そうだったのか!」の連続。
授業ではサラッと流されたような、
点と点の間の部分が、美術研究や
歴史家を総合した見解をふまえたゴンブリッチ先生
(いやもう「先生」扱いです)
の言葉としてツラツラ語られる。

 
知識欲が満たされ、線がつながって行く気持ちよさ。
これは、この年になって読むと尚更その面白さがはじける。
出会うべくして出会った本かもしれない。。。

 
読み終わるまで各種展覧会に行かなくても良さそう。
むしろ、読んだら片っ端から行きたくなるかも。
 
・・・昔買った歴史の参考書を
引っ張り出して読み返しても面白いと思う。

 

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