背景という世界

漫画とかアニメとかが大好きなわたくし
山田の今回のお気に入りは、アニメーションの「美術」。
背景のイラスト集です。
 
会社の仕事の中にイラストレーション制作があり、
2011年度はおかげさまで20枚以上の
イラスト制作に携わらせていただきました。
 
おもにサイエンスイラストという事で、
自然現象の観測や研究している様子
その事で何が分かるかを、
「見て分かる」イラストにおこします。
 
しかも、依頼先の研究対象が、
極限環境下に生息する生き物だったりするので
部分的な資料はあっても、
引いたアングルからのビジュアルなどは無く
部分部分の画像を抑えつつ、色々なイメージを流用し
頭の中で再構成して描くような絵作りです。
 
「架空の舞台」を創出するアニメーションの「背景」も
そういう意味では、似ているような気がして来ます。
 
持って来た画集は三冊。
その内二冊はスタジオジブリの映画などを手掛けた
山本二三さんの画集と、男鹿和雄さんの個展の図録。
一般的な?アニメーションの背景の例として
背景専門のスタジオ「草薙」の作品集(1巻のみ)
 


 

「美術」とは言え、限られた制作期間内に
必要な場面を必要なだけ描く訳でアートではない。
作品の一部として制作される「背景」は
キャラクター達の住まう世界を「リアル」に
感じる事が出来るかどうか。ひいては、
観る者の気持ちがすんなりと
映画に入れるかどうかを左右する重要なパート。
 
フィクションの世界だからと言って「嘘っぽい」世界では
見る者の気持ちなど絵の中に入るよしも無く
リアルな世界は不可欠なれど、じゃ、「写真」のように
写実的であれば良いかというと、そういう訳ではない。
セル画とのバランスや、画面から読み取る情報量など
意図的にコントロールする事で「見やすい」画面になり
場面によって、キャラクターの心情までも反映させる
演出が加わる事もある。
 
時には写真よりもリアルに感じる事もあったり
作品を通して最も記憶に残る映像として、
キャラクターよりも美術が心に残ったりする事も有る
 


 

 
そういった「職人」クラスの美術は本当にスゴい。
不透明水彩、10色程度で全ての背景を描いてしまう。
必要な色と、その配合が頭に有るのでとにかく早い。
しかも、だ。
映画館の巨大なスクリーンに大写しにされても
「保つ」密度なのだから・・・
スゴイの上、超スゲー!だぜ!
 
 
はるかな未来や、中世ヨーロッパや、世界遺産だろうが
近所の公園だろうが、教室の片隅や、異世界にしても、
空の上でも海の中でも、宇宙のどこかでも
いにしえの日本から、現代の日本に至るまで
例えば日本の小金井市の某スタジオだったり
三鷹の小さなビルの一室で作れてしまうという。。。
なんか痛快。


 

 
最近はデジタルによる作画も多いだろうが、
やはり手描きの存在感は一日の長がある。
好みの問題も有るかもしれないが、
手描きがイイ。。。
 
 
 
お仕事で制作していただくイラストは、
今は取り回しや、修正の回数の多さなどから
デジタルオンリーの仕事がほとんど。
 
ニュートン時代は、生のイラストが仕上るたびに
「ぐおおおおおおおおっ」っと感動していたものだ。
デジタルになると、その感激も三分の2くらいになる。
(仕上ったイラストは、それはそれで細かくてスゴイけど)
 
 
だらだらと長くなってしまい、収集が付かなくなったので
そろそろおしまい。
 
 
追伸
以前お気に入りで持って来た「ショーン・タン」さんの
最新刊が出ています。。。
こちら、アイデアスケッチをまとめたラフ集で
絵が好きな人にはたまらん1冊です。超オススメ!


文責:やまだ

 

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