「抱きしめたいデザイン」



日々目にする色々な雑誌や本、広告や中吊り。

思わず惹きつけられる人や物、形や色。

そして形や色でも、「ちがう、ちがう、私がいいと思うのは

もっとこういう感じで、こういう色…」

人それぞれの「こういうの」というのはあるはず。


好きな色や形は、いつ頃から芽生えるものなの?

その人にとって「ピタッ」とくるものはどこからくるの?

でもそれに出会った瞬間、思わず立ち止まってしまい

昔から知っていて、ずっと会いたかった

懐かしい大切な友達と再会したような衝撃を受けます。


子供時代をスウェーデンで過ごしました。

その時に見た色なのでしょうか、感じた形なのでしょうか。

オーレ・エクセル氏の作品を見た時に

この懐かしさがこみあげてきたのです。



スウェーデン人のグラフィックデザイナーの

オーレ・エクセル氏は1918年生まれで

2007年に89歳で亡くなっています。


14歳の頃からすでに広告の仕事に憧れていたオーレは

第二次世界大戦開戦の年に開校したアートスクールに

入学し、世界大戦の終わった翌年には当時

グラフィックデザインの先進国だったアメリカに渡ります。
「新しい世界を見たい」そんな思いを携えて

わくわくしながら大西洋を渡ったことでしょう。



「グッドデザインは単に美しいだけでなく

経済効果もあるものである。

グッドデザインは単に美しいだけでなく

非常に真剣なことである」

お菓子メーカー・マゼッティの国際コンペに優勝した

このシンプルな「目」はそのことを語っています。



オーレは自分で肖像画を描くのが苦手、と言っています。

でもなぜか鳥をモチーフにすると、その人の特徴を

上手に表せたそうです。面白いでしょ。



どの作品も「じーっ」と見ていると引き込まれます。

温かいなあ〜、優しい気持ちにさせられます。

愛情がいっぱい、そんなオーレの作品です。


文:沢田寛子


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