野島康三の写真

写真の魅力は様々だが、これほどわかりやすく暖かみのあるものは少ない。絵画に比べて写真はクールでつきはなしたところが少なからずあるが、野島の写真はもはや絵画であり、木炭デッサンである。120年前に孤立無援状態でARTを志向した野島の目はどこまでも柔らかい。とにもかくにもこのような写真家がいたことが驚きである。わが家での第一発見者はかみさんであった。その美しさとりわけ日本人のヌードの美しさの最初期の表現は素晴らしいというほかない。中に男の肖像がいくつかあるが、驚くなかれその中の1枚は柳宗悦であった。肖像写真としても一瞥でその技量が感じられようというものだ。おすすめの一冊である。

 発行:赤々舎 定価:4200+税


 おまけに持ってきたのが竹尾洋紙店発行のDesk Diaryだ。

 こちらは自然写真をテーマにしているが、自然のとらえ直しが多様な表現を生み出している現代の状況を伝えて、すこぶる面白い。


 

堀木一男

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