「写真家の目」のすごさ!
2009年10月14日
2020年7月14日
公文健太郎写真集
「大地の花」ネパール人々の暮らしと祈り
東方出版社
7年間ネパールに通い続け、そこで暮らす人々を
撮り続けている若干27歳の写真家公文健太郎の写真集と出会った。
写真家としては若いがその目は確かである。
彼の撮る写真には力があり、やさしい眼差しがあり、清さ・美しさがある。
ネパールの人々の屈託のない笑顔。包み隠さない生活。ありのままを受け入れ
感謝し生きる人々の姿。そのような写真はおいそれと撮れるものではない。
7年通い詰めて人々と心を通わせる中で導き出されたものであろう。
通りすがりの旅行者ではとうてい取りえない写真である。
人々に深く関わり生活の営みの奥にある
魂の「美」にはそうたやすくは到達できるものではない。
それができるのはとりもなおさず写真家の志と人柄であろう。
そのことは随所に語られている短い文章を読めばよくわかる。
そして最も感動的なのは7年に渡り親交のあったゴマという現地の
女性からの手紙に記された「祈り」である。
「夜空の星よりも 大地の花をください お金や財産はいりません
友達の愛があればそれでいいのです ありがとう」
この写真集を観て、ドキュメンタリーは通りすがりではなく、
地に足を据え、深い眼差しで見つめる事だと感じた。
岩嵜 記