電車で前の人が読んでいた新聞



朝の通勤電車でよく乗り合わせる30歳代と思われるサラリーマンが
いつも読んでいて気になっていた。
赤い紙にかまわずカラー印刷したタブロイド紙。
サッカーの専門誌らしいが、旧来のスポーツ系タブロイド紙の
下世話とも言える雰囲気を、完全に覆している。
レイアウト、デザインが良い。適度な品格を保ちながら、
熱っぽさも伝わってくる。



コンビニの新聞棚にこの新聞を見つけて「こんなところで手にはいるのか」
と、次の日買いに行ったらもう売り切れていた。日刊ではないようだ。
いざ買ってみようとして、この手のジャンルへの無知に気づく。
駅のキオスクでやっと手に入れてみると
「EL GOLAZO/エル ゴラッソ」は月・水・金曜発行の20ページ。
カラーとモノクロ刷りが約半々で¥150であった。

ピンクの用紙に「読みにくい」など異論もあろうが、
日本離れしていて他紙との差別化は十分だ。
私が電車内で目についたのも、この用紙の色による効果だったと思う。
基本組は横組である。グリッドシステムのかなりスクエア運用により
他のスポーツ紙に無い、清潔とも言えるムードをかもし出している。
コラムの処理、それら見出しのあしらい、図版なども小技が効いて土臭くない。
その上で写真の処理や、一部見出しの処理は熱い。
スタジアムでの熱気はこのビジュアル要素が伝えているのだ。
この組み合わせ、編集者とレイアウターの呼吸が合っている。
「サッカーを伝える」その手法で意見が合っている感じがするのである。
20代から30代を中心に支持されそうな紙面なのではないだろうか。
こうした紙面は旧来の紙面作りのメンタリティ、システムから解放された、
デジタルによる紙面作り(DTP)が可能にしたものだろう。
新聞というより雑誌的な感覚、ノウハウによるものといえる。

南アフリカでのワールドカップが近づく中、このタブロイド紙の
発行部数がどうなっているのか、私には気になるところである。

岡野祐三

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