植物記
2013年8月12日
2020年10月2日
1931年生まれの齢82歳の植物写真家です。
NHKのドキュメンタリーで
2013年4月、「足元の小宇宙」~82歳植物写真家と見つめる生命~
という番組が放送されました。
その番組を見て、この写真家の「写真集」が欲しい!と
探したのがこの本「植物記」です。
1900点にも及ぶ、どの写真も素晴らしいのですがこの本、
写真集ではありませんでした。
かといって、植物図鑑でもない。
学術的な中身でもなく、学習する為のものでもない。
総ルビで、子どもも読む事が出来ますが
読み応え、見応えは大人でも十分に味わえます。
面白く、発見が有り、驚きと感動が詰まっている。
なにより埴さんの楽しげな視点、
被写体はあくまで埴さんの郷里である
大分の国東半島近辺で撮影された植物だけ。
大輪の花も、特殊な環境で育つ奇異な植物も、
異様な樹木などもありません。
山野に育つ植物へ丹念にカメラを向け
地面に這いつくばり、寄り添い、定点で観測し、
植物の成長どころか「運動」まで記録する。
興味、関心が多用で、植物そのものを見つめた写真は
一枚一枚の「点」を「線」に、広がりを「面」に
面を時間で捉えると、空間になり、
植物を取り囲む「環境」にまでイメージを喚起させる。
埴さん自身が面白がっているだけなのかもしれないが
相当な作品数をこうして編集してまとめると、
通り一遍な「形と名前」をただ覚える図録より
深く見る事が出来る。
ドキュメンタリーでも常に笑顔で楽しそう。
(笑っている場面をわざわざつなぐ程に)
楽しげな埴さんへ秘訣を尋ねると・・・
世の中楽しい事ばかり
・・・その中から楽しい事を探し出して楽しむ事だね
至言だ。
そういうおじいちゃんに、僕もなりたい。