「瀬戸内芸術祭」に行ってきた

知らないところに行くのが好きだ。
知らない土地で、様々見聞きして、どきどきしながら時を過ごす。
都合の良いことばかりとは限らないから、それも刺激の一つとして旅は楽しい。
建築家と建設関係者のグループに混じって、2日間にわたり「瀬戸内芸術祭」を巡ってきた。
3年ごとに開催されているこの催しには、「アートと島を巡る瀬戸内海の四季」と
サブタイトルが付されている。
アート作品を目指して、船とバスと足を使って瀬戸内海の大小の島々をまわることになる。
淡路島生まれの私だが、はじめての島ばかりだった。
目にする風景は首都圏での私たちの日常とはまったく異なる、まさに知らないところである。
だが高松港での光景は、高速艇やフェリーなど大小の船がひっきりなしに出入りしていて、
都会の(バスや電車の)ターミナルの様子にも似た活気があった。
船を足とするここでの暮らしが想像されて新鮮だ。 

 

高松を基地に、豊島(てしま)・犬島・直島と渡って、芸術祭の建築とアート作品を見てまわる。
アート作品はそれらを納める器、つまり建築と密接に関係しているし、豊島美術館などは
建築そのものをアートとして空間の緊張や調和を楽しむことになる。
そして瀬戸内の風光の中を巡ってそこに至ったことを思うと、アート作品にたどり着くまでの
壮大な「空間と時間の体験が作品」なんだ!と思い至った。
「芸術祭」の企画がそこまで計算した仕掛けなのだとすると、ただ感心するほかない。
こうしたことが楽しめる人間は、つくづく4次元時空の生きものだなと思う。
未知の空間が面白くて仕方ない。
建築家の蘊蓄を聞きながらアートや建築を愛でるつもりだったが、
瀬戸内の時空間をそのものを堪能する心弾む旅となった。
そこで体験した感覚は、言葉や写真などでは到底伝えられない。
芸術祭が終わっても公開している施設は多くあるので、
是非訪ねて自ら体験されることをお奨めしたい。
   岡野祐三

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