欠乏欲求と自己実現

僕は人間の成長とそのモチベーションにすこぶる興味をもっていますが、相模女子大の石川勇一先生の著書をとおして学んだことをご紹介します。

 

欠乏欲求と自己実現


 

A・マズローは行動主義心理学者として頭角を現し、後にアメリカ心理学会の会長になったいわば立志伝中の人ですが、次第に自己実現に関心を移して行きます。彼の欲求階層論は、われわれの欲求には優先順位があり、強力な低次の欲求からはじまりそれが満たされると、より高次の欲求に移り、次第に自己実現へ向かうと言われています。一番基本的な欲求は食欲などの①生理的欲求であり、食欲が満たされると様々な脅威から守られ②安全に暮らしたいという欲求が生じます。安全が満たされると、家族や仕事場などに③所属し、他者と接触し愛しあいたいという欲求が生じます。その次は④承認されたいという欲求で、他人に認められ自信を持ち、地位や名声を欲するものです。これら4つの欲求は欠乏欲求とわれますが、マズローは神経症などの心理的障害は、相手を変えようとしたり操作したりしないで、いづれかの欠乏を満たしてやることだと考えました。そして、4つの欠乏欲求が満たされると、さらなる成長欲求が現れます。それが自己実現欲求です。個々人が潜在的な能力を十全に開花させようとする力です。マズローは自己実現が最終目標と考えていましたが、後に自分自身より大きいものに自己同一性を拡大する自己超越の欲求を提唱し、トランスパーソナル心理学の考え方を明らかにしました。さてわたしたちそれぞれは、今どのあたりにいるのでしょうか。興味がつきません。

 

堀木一男

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