国立研究開発法人 水産研究・教育機構様:「要覧 リニューアル英語版」ができるまで

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 様(以下FRA様)より、機構要覧の英語版制作をご依頼いただきました。FRA様の概要を紹介するパンフレットの制作です。現在使用している日本語のパンフレットが存在し、デザインを合わせた英語版パンフレットも制作済みでしたが、内容を更新する機会に英語版のリニューアルをしたいとのご相談でした。

今回のご依頼概要

  • 過去に制作済みのパンフレットを内容の更新に合わせてデザインリニューアルしてほしい。
  • 原稿は全て提供できますが地図や組織図は作ってほしい。
  • 英文のネイティブチェックをしてほしい。
  • 指定の仕様で印刷納品してほしい。

弊社が受け持ったのは、デザイン・DTP・赤字修正対応から、印刷データ作成・印刷発注までに加えその他の英文校正のやりとり対応や、印刷の対応管理までです。

弊社内で対応できない「英文校正」については専門の会社さんへ依頼し、ネイティブチェックサービスを利用。「印刷・加工・納品」については印刷会社さんへ依頼しました。こうした外部の協力会社さんのおかげで色々な案件を請け負うことができます。

表紙は品よくシンプルに、明るいイメージになるようデザインしました

制作全体の流れ

  1. 誰に向けて、何をどう伝えたいか。そのための情報を含め、メディアの形(ページ数やサイズ、冊子の形式から用紙のセレクトまで)についてもFRA様の広報課と打ち合わせをしました。基本的には方針が決まっていましたので、比較的仕様確認の部分はスムーズでした。ページ立てや内容についても、打ち合わせからデザイナーが参加することで、全体が見えるようになりますのでおすすめです。
  2. 内容とページ立てが決まったら、ダミーデザインを制作します。最新の情報には後で差し替えるとして、ダミーの原稿でも、伝えたいことは確定しているのでデザインレイアウトの表現を模索し、たたき台を制作しました。足りないテキストや印刷に適さない画像なども、デザイナーが確認し不適合な部分について連絡をします。
  3. たたき台でデザインの方向性を決めつつ、実際のテキストや画像情報を用意していただくよう連絡し、順次お送りいただいたデータを印刷に適する状態へと変換・調整していきます。
  4. デザインと内容が揃ってきたら、PDFによる校正(チェック)が進みます。情報に間違いが無いか、余計な情報が入っていないか、足りていないものは無いかなど、広報課で確認していただきます。そうしてテキストと画像情報の確認が終わったら、英文校正を外部サービスに依頼します。
  5. 英文校正が終わったら、あとは最終的な校正確認を経て校了(チェック完了)し、印刷用のデータを作成していきます。印刷会社によって、渡すデータの形に少しずつ違いがありますので、それぞれに合わせたデータの作成をこちらで行います。印刷するのに適したデータを作成したら印刷会社さんに発注です。

後は、印刷会社さんによって印刷・加工・梱包・発送が行われ、納品へと至ります。

全体としてシンプルで落ち着いた雰囲気の紙面を目指しました。

挨拶ページと中長期計画についてのページ。全体にメリハリをつけカチッとさせた
組織図と船についてのページ。余白を大きく取ることで圧迫感を減らすように。

大きく変えたのは、元々のパンフレットの中で、要素にどうメリハリをつけて視線を誘導できるかです。

こうしたリニューアルには「改善した方が良いポイント」を見つけ出し「どのような手法を取れば効果的か」を考えることが大切だと思います。

今年の新しいお仕事のご紹介でしたが、皆さまにも今後のヒントとなるのではないかと思います。もっと詳しく知りたい方は担当である飛鳥井までお気軽にご連絡ください。喜んでご相談承ります。


今回、クライアント担当者様からコメントをいただきました。

  • 校閲なども本来決めていた回数を超えて手厚いサポートをしていただきました。
  • スケジュールが少しずつ遅れていった我々のサポートをしていただききっちり締め切りまでに納品していただきました。
  • いまHPにもデジタルデータを掲載しており海外からの問い合わせに役立っております。
  • 作成いただいたデザインの一部を海外からの来客用説明資料にも活用しており非常に効果的です。
  • 日光庁舎にも英語の要覧を置いており、海外からの来園者には手に取って持ち帰られていて頻繁に補充をしているぐらい好評です。
  • 明るい感じの表紙にしてもらったので魚の写真がいきいきとして見える感じです。


おまけのポイント

情報更新に合わせてのリニューアルだった為、進行はスムーズでしたが、一から企画し作り上げる場合には少々勝手が違います。それこそ、企画段階からデザイナーにご相談いただくことをおすすめします。

もう少し付け加えますと、私たちの仕事とは、色や形、レイアウトや校正だけを行うのではなく、根本的に「これは誰に向けて何をどのような形で発信するのか」「それがどう受け手に届き伝わるのか」などから考えて、効果的な仕様や見せ方まで考えることだと思っています。

今回の様に、制作物自体の目的が明確で、その内容・形式が固まっていれば、制作自体は難しくありません。また、内容の更新ということで考えれば、見せ方を変えるなどはデザイナーを変えるだけで変化が出ることでしょう。

ただ、そもそも誰に何を伝えたいのか、本当にこの形のパンフレットが効果的なのか、根本的な部分で考え直したり、方向がズレていないのかの検証など、最初にしっかりと確認をするのであれば、その企画段階からデザイン事務所が関わる方が良い結果が得られると思います。

さらに言えば、企業や団体において、そうした外へ向けた情報発信活動の全体をどのようにするのかを、クリエイティブディレクター・アートディレクター・デザイナーとしてトータルに考えサポートし、実際の制作まで行うのが私たちデザイン事務所の役割だと考えています。コンテンツの中身についてもライターさんや編集者さんとの協業によりお任せいただける体制を敷いています。

皆さまが気軽に相談できるパートナーとなれたら嬉しいです。

文責:飛鳥井

デザインコンビビア

お問い合わせはこちら

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です