「知らない」ということは、案外いいこと

東京・新宿にあるデザイン会社、㈱デザインコンビビア代表の飛鳥井羊右です。エディトリアルデザイナーという仕事柄、専門的な広報誌やパンフレット制作に携わること多かったりします。その分野の専門家ではありませんし、知識もそれほど持っていない事が多いです。でも、制作が成り立つのには、こうした冊子作りというのが専門家と素人両方の「視点」を持つことで成り立つからです。

専門家の知識を伝えるために

サイエンスに限らず、その分野の専門的な内容である場合、
専門家が説明する方が分かりやすいと思いますよね。

もちろん、その場合も大いにありますし、
むしろ、専門家だから上手に伝えられる場合もあります。

特に広報誌などは
誰に、何を、どうやって
伝えるのかを良く考えなくてはなりません。
前提として、良く知っている人が間違い無く必要です。

では、専門的知識の無い僕たちがどうやって制作に携わるのでしょうか。

僕らがデザインする時に「受け手の視点を持つこと」を大切にしています。
受け手自体が「詳しい人」なのか「詳しく無い人」なのかで
伝える内容と噛み砕く案配が変わってきます。

あまり詳しく無いという状態の人に
どんな風に噛み砕いたらこれが分かり易く伝わるかと考えた場合に、
その人の視点になってみる必要があります。

でも、詳しければ詳しいほど、良く知っていることは
省いて説明してしまいがちです。

かといって、全部説明していても長く細かくて
理解しづらくなっていきます。


「要はどうゆうことなの?」


これです。
これを見つけ出すために、
知らない人の視点と、詳しい人の視点の両方が必要となります。

「え?そんなところから分からないの?」
ということ、これがとても大切。

専門的な部分はその道のプロに尋ねます。
そして、知らない・分からないという視点から
必要と思われるものを選択し、組み立てていく
そこに広報誌やパンフレットの
制作におけるデザインの視点があります。

誰にどこまで説明するの?

例えば、大学で専門的なことを学んでいる人に対してであれば
難しい内容である程度基本を省いても問題ありません。
むしろ当たり前のことは邪魔です。
噛み砕いた説明いりません。

しかし、広報誌やパンフレットは
知らないという前提で説明するので、
丁寧かつ、簡潔に伝わる構成にする必要があります。
編集とデザインの両方にその視点が必要です。

だから、僕たちは制作に携わる場合、
一般の人の目線に立って、
恐れること無く専門家に質問します。

「え?それちょっとわからないです」
「詳しく教えて下さい」
「つまりこういうことですか?」

そうして集めた情報から
必要なものを取捨選択し、要点を形にするのです。

だから、広報誌やパンフレットなどを制作する場合
デザイナーはその専門家である必要はなかったりします。

もちろん、続けているうちに段々詳しくなっていきますが、
あくまで、対象である受け手が「誰」なのか
受け手の視点を持つことが必要です。


と、ここまで「デザイナーが」と話をしてきましたが、
デザイナーに限らず、商品を開発したり、
それを販売したりするときに必ず「受け手の視点」を
皆さんも意識したりしているのでは無いでしょうか。

その商品を誰に使って欲しいのか
それはどんな人なのか、
知らないという前提で何をどれだけ説明するのか…
そうした視点を持って伝えていくことが
あちこちに発生していると思います。

デザイナーの視点といいつつ
その考え方はあらゆるところに応用できるのです。

とはいえ、その考え方を元に
ビジュアルに表現することについては
僕たちデザイナーの役割だったりしますので…

知らないということが武器となる。
そんな考え方もあったりすること
知ってみると面白いですよね。



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