天国と地上に届く花

大切な人、六角幸生さんとの別れは
その日突然やってきました。

2011年10月24日の朝、いつものように
「お誕生日おめでとうございます!」と
携帯から伝えようとしたら、電話に出たのは奥様の泰子さん。

少し前に「今ちょっと体調が悪いんだよね」
ということは聞いていました。
しばらくライブもお休みだったので
早く治ってまた元気に歌って欲しいと祈っていました。

でも泰子さんの、「だいぶ危ないの、午前中いっぱい持つか…」

という声を聞き
いても立ってもいられなくなり、病院に駆けつけました。

病院のベッドに横たわっていた幸生さんは、
ずいぶん痩せてしまったけれど、目力はすごかった。

やっとの思いで「お誕生日おめでとう」と言うと
「トニー・ベネットが、レディガガとデュエットしたでしょ。
僕もまだまだ若い人と歌いたいんだよね」という返事。
「楽しみにしているから、幸生さんもがんばって」
と言うのが精一杯でした。
それから午後しばらくして、天国へと旅立ってしまいました。

自分の誕生日に、68歳で天国に行ってしまった…。
悲しすぎて、しばらくはCDを聴くことが出来ませんでした。
ラジオから幸生さんがライブで歌っていた曲が流れてくると、
もうダメでした。

「毎年お誕生日にはお花を贈りたい」
自然にそんな気持ちになっていました。
翌年の誕生日から、ずっと同じお花屋さんから毎年贈っています。

あれから10年以上…。
「今回は秋色のカラフルなアレンジにいたしましたが
如何でしょうか」
今年も素敵なアレンジメントの写真と共にメッセージが
送られてきました。

昨年のお花もシックで素敵でした。

小さなお花屋さんですが、店頭にはいつも季節を感じる草花や、
見たことのないような素敵な色の薔薇など、
柳澤さんが、その日の市場で惹かれたお花を見つけて
お店に置いています。
地元にこんな優しいお花屋さんがあることに感謝です!

幸生さん、今年も天国で喜んでくれたかな〜。

文・沢田寛子

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