『五体不満足』の海外版を知っていますか?
乙武洋匡さんの書いた『五体不満足』は出版当時
色々なメデイアで取り上げられ、読んだ人も多いのでは。
私もその一人で、我が家の本棚にいつもその背表紙だけは見えていますが
最近この本のことで嬉しい再会をしました。
教会の牧師先生が、大人と子供たちとの合同礼拝の中で
この本のことを取り上げて話してくださいました。
以下にその時のお話の一部を引用させていただきます。
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十年前に出版されたミリオンセラー乙武洋匡著『五体不満足』は
翻訳され海外でも読まれています。英訳は“No One’s Perfect”という題名です。
「完全な者はいない」という意味です。両手両足のない
洋匡さんだけが五体不満足なのではなく、私たち誰にでも
色々な欠けがあるという意味でしょう。
独訳は“Leben ist Freude”(人生は喜びだ)という題名です。
欠けのある私たちが「人生は喜びだ」生きているのは嬉しい、
と生きることができるのです。どうしたら生き生きと喜んで
生きることができるのでしょう。『五体不満足』を読んだ人は分かるでしょう。
両手両足がない洋匡さんが生まれた時、最初お母さんが
ビックリするといけないと思って、お父さんもお医者さんも洋匡さんと
お母さんを会わせませんでした。でも我が子を母親と会わせないなんてできません。
一週間後、最初のご対面となりました。みんなは、お母さんが卒倒してもいいように
ベッドを用意し、倒れるのを受け止める準備をしていました。
洋匡さんと会ったお母さんはどうしたのでしょう。「かわいい」と言って
洋匡さんを抱きとめたのです。親に愛されている。この真実が彼の一生を決めました。
欠けのない子供はいません。でも可愛いのです。完全な子供はいません。だから可愛いいのです。
親馬鹿の愛情があるから私たちは、人生は喜びだ、と生きることができます…
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この本の帯には「障害は不自由だけれど不幸ではない」とあります。
『五体不満足』という本のタイトル同様、私にとってこの言葉はとても印象的でした。
今この本が世界でも多く読まれ、さらに奥の深いタイトルとなって
世界中の人たちに読まれていることを嬉しく思いました。
それにしても『五体不満足』が英語版では「完全な者はいない」という訳になり
さらにはドイツ語版で「人生は喜びだ」となったことは、まさにそれぞれの国の
「国民性」「らしさ」を現していると感じ、感慨深いものがありました。
文:沢田寛子