『株式会社JIRCAS ドリームバイオマスソリューションズ(JDBS)』の会社案内
■ご依頼
国際農研発のベンチャー企業『株式会社JIRCAS ドリームバイオマスソリューションズ(JDBS)』の会社案内を制作いたしました。
国際農研から発信された会社概要と、テキストなどはすでに編集されたWEBサイトがあり、ロゴやマークもあります。
基本的に素材は用意していただき、取材や撮影などは無いという案件になります。縦折りでA4サイズの会社案内を用意したいとのこと。
多少図示する必要は出てくるので、イラストでもグラフでも図でも良いような項目を加えた見積もりになります。
内容について打ち合わせをすることになりました。
■事前の予習
送っていただいた起業の目的やコンセプトなどをまとめたレポート、すでに公開しているWEBサイトを事前に拝見いたしました。
またデザインについても、すでにWEBができていたので、この雰囲気から、あまり離れないようにと思いました。
会社案内ですから、「会社」を「案内」したいというものです。
色々な会社の会社案内を見渡すと、おおむねオーソドックスな順番があり、必要な項目があると思います。
いただいていた資料とWEBサイトから、内容を分解してみました。
項目にすると
「会社名」
「企業理念」
「事業内容」
「SDGs」
「会社概要」
「会社情報」
これを入れ替えたり、伝えたいところを強調するなど大きさを変えると、全体の伝わり方が変化すると考えています。
簡単ながら、編集と言える工程です。
A案
発信者側に立った感じの場合、こんな会社にしたい、していく、という企業理念を中心にした会社案内
「会社名」『企業理念』「事業内容」「SDGs」「会社概要」「会社情報」という順番で。
展開のイメージ
私たち(の会社)は社会に向けて何を発信するのか
↓
そのために何を業務とするのか
↓
社会貢献(SDGs)について
↓
さらに会社の技術力を裏付けるバックボーンの説明
B案
外部の立場で考えると、この会社は何をしてもらえる会社なのかが知りたいと思うので、事業内容を中心にした会社案内
「会社名」『事業内容』「会社概要」「企業理念」「SDGs」「会社情報」という順番だと。
展開のイメージ
この会社は私たちに何をしてくれるのか
(メインの商材、何を売っている会社なのか)
↓
何を持って信用信頼の軸とするのか
↓
どういう想いで起業したのか
↓
付随する利点
予習してみると、おそらく「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」を広めていきたいのだろうということ。
ただ、いただいた資料では「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」については用語解説のような扱いで、言葉としても「原料マルチ化プロセス」や「クルアンプロセス」などの表記があり、定まっていない様子。
また、山田のパームヤシの精油事業などについての下調べが中途半端で、業界には「○○プロセス」的なものが色々あり、「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」もまた、その一つなのかと思っていて、予習の段階では重要度の理解がいまいちでした。
■打ち合わせ
打ち合わせは代表の小杉様とオンラインで行いました。
そこで「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」という言葉は業界的にも皆さん聞けばわかる言葉なのかとうかがうと、実はそんなことはなくて、「今回私たちが新たに仕組み化した方法であり、1番の売り。ご理解いただきたいので説明必要」とのこと。
つまり、「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」について知ってもらう事を第一にした会社案内が必要ということが判明しました。
小杉様より改めて「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」の説明をうかがいました。
打ち合わせの前に詳しい説明が記された厚いレポートをいただいておりましたが、自力では十分読み解けず、理解が及ばない状態で感情が平坦になるような気持ちでした。小杉様には一般人である山田にもわかるよう、要点をしぼって丁寧に説明していただいたことで、全体をシンプルに理解することが出来ました。
結果、かなりすごい仕組みだとわかり「これは、すごい!」と、一人興奮。
山田のザックリとした理解の範疇で説明してみると。
パーム油を搾った搾かすはもちろんのこと、精油する際に必要な大量の水などが毎度必要になるのは想像に難くないところ。驚きは、椰子の木が生産能力が低下してくる時期を迎えると全て切り倒すらしいのですが、その面積「毎年東京都の約2倍」。結果、油以外はほぼ廃棄になるという衝撃の事実。
しかし「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」を経ると、ほぼ全ての廃棄物が再生でき、利用可能に。しかも、アップサイクルして市場価値を生む素材に生まれ変わることができるとのこと。発電や水の濾過もプロセスに組み込まれ、プロセス自体を回す電力にしたり、売電も可能で、きれいになった水も、油の精製や椰子の育苗などに利用されるという。(技術的な説明が、すっぽり抜けていますが)
これはもう、「すごい」以外ない。
■予習で考えていた展開を変更
「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」
これが中心であり、企業の理念でもあるので、まずはこのプロセスを知ってもらう。理解してもらうことが「会社案内」の主題になりました。
項目も順番も変わりました。
「会社名」『クルアンプロセスについて』「事業内容」「会社概要」「企業理念」「SDGs」「企業情報」
展開のイメージ
「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」とは!
↓
その導入に関する様々なサポートを仕事としております
↓
技術的なバックボーンは「国際農研」での認定を受けて。
↓
社会貢献を目指します(理念)
↓
本プロセスの導入による社会貢献について(SDGs)
「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」を分かりやすく伝えるために、全体を見て感じる「すごい」が、やはり大事だと思うので言葉を並べるより図示することにしました。
いかに間違いなくシンプルに伝わる図にできるかがポイントになります。
そのため、細部の説明を少なくしました。
大事な図なので、緊張と気合が大変でした。
たくさんの資料と、たくさんの図や表を送っていただいていたので、組み立て直しの時に助かりました。
■皆様で校正
会社案内のデザインは、窓口としてご対応いただいた小杉様と詰めたのちに、会社の役員様の日程を調整いただき、オンライン会議にて直接校正をさせていただきました。制作の意図も伝えつつ、プロセスに詳しい方ばかりと言うこともあり、間違いはもちろん、想いも重ねて修正できるため、非常に濃厚な校正ができた気がします。
実はそこに難しい問題もあり、想いが強い分、つい、細部のこだわりを載せてはどうか、となってしまいます。そういう場合、「できる限り承ろうとしてしまう」デザインサイド(山田)なのですが、「シンプルであること」の意図を山田以上にご理解いただいていた小杉様に伝え直していただいたことで納得していただき、当初のシンプルさを維持した形で詰めることになりました。
当たり前ですが間違いは修正し、この無駄の無いプロセスを意味する「ゼロエミッション」という大事なキーワードを目立つように追加して、あわせて細部についてご検討いただきました。写真を直し、デザインも矢印の大きさや色などをより見やすく、写真を直し、ニュアンスを検討し、より良い図に仕上げることができました。
(テキストなどは、すでに制作されていたWEBサイトの時に練っておられるので、さらに丁寧にみていただけました)
■会社案内を作ってみて
「クルアンプロセス(オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス)」について、小杉様の説明で感じた「これは、すごい!」という感覚を図にできれば、おそらく正解に近い図になると思って製作した結果、素直な図にできたと思います。
会社案内は、ほぼこの図のおかげで、「他と違う」会社の個性が紹介できたという感じです。
色々な企業にこのような手法(あらゆるものを図で表すのは難しいので)は使えないかもしれませんが、やはり、他と違う我が社のすごい!を伝えることができれば、理解しやすい自己(会社)紹介ということになり、結果、覚えも良く印象も良い会社案内になると思います。
図版が難しい場合は言葉選びを工夫し、短いながらも強い言葉や泌みる言葉でまとめることもできるかと思います。(あるいは象徴的・印象的なお写真などでも)会社に初めて触れる人が、なるほど!と感じられる特徴を捉え直し、伝わるようにご提示いただくと良いと思います。
その際はぜひ、デザインという伝える技術のご利用をご検討いただけましたら幸いです。