『LGBTとキリスト教 20人のストーリー』

監修 平良愛香

日本キリスト教出版局

¥2000+税

「信徒の友」(日本キリスト教団出版局)で連載されていた「LGBTから学ぶ シリーズ性 その多様性にみる神の愛」に、さらに書き下ろしを加えて一冊の書籍になりました。

今回は連載中の誌面のデザインを担当した山田が、本文のフォーマットのベースと装丁を担当しています。

この本は、キリスト教にあって、セクシャルマイノリティーという方々に焦点をあてた本です。

先輩であり、隣人である方々の体験や経験を経た力強い言葉を、顔出し、名前出しもいとわず語っていただけたという点がポイントでした。

山田の印象として、そこから「大丈夫だよ」と言ってくれているようなイメージを持ちました。祝福というか、応援というか。読後に希望が持てるような本、という印象です。

編集部から使える写真として北海道の教会のお写真と、サンプルにと送っていただいた文字だけで作られた別のLGBTの書籍広告チラシと、仏教系のLGBTの本の装丁も念頭にします。

装丁については、LGBTのシンボルで有る「レインボーフラッグ」の6色を使用する以外の注文がなかったので、自由に考えることができました。

素材が少ないのでイメージを作っていくのですが、キャラっぽいイラストの軽さは違うかな、と。

また、用意できる写真もイメージを固定しかねないもので、20人の個性豊かな登場人物を包括するには難しいのではないか。

なるべく、見た人によって色々な受け止め方ができながらも、前向きなワードになるようイメージの方向性だけ決めてあげるようなもので良いのではないか、と考えました。

象徴にして、かなり強いインパクトになるレインボーフラッグを、この本のテーマにどう添えていくか。

タイトルとサブタイトルを見てくれれば内容が100%わかるため、装丁はなるべく説明せず、いかにシンプルに出来るか。

・この書籍は先輩方からの贈ることばである。→プレゼントが入った箱に虹色のリボンを「十字」にかけてみる。

・雨(困難や思い悩み)があがり、晴れた空に虹がかかる。→そのまま空にかかる虹として扱う。

・様々な生き方(色)の解放。祝福。前に進むイメージ。→色とりどり(6色+白)の紙吹雪が降りしきる。あるいは降ってくる。重なる。混ざる。混ざって美しい。

などなど。

●アイデアラフまとめ




監修者の感触として紙吹雪の案が良いのでは?と、コメントをいただいた上で、編集部からもう一案考えて欲しいとの要望が出ました。

もう少し別の可能性も見てもらいたいという意向からだと思いますが、(あまりにもシンプルに振っていたこともあり)もう少し「人」に寄ったテーマで制作することになりました。

編集部よりご提案いただいたアイデアとして、YouTubeのタイトルバック?を飾っていたクリスマス飾りイメージイラスト(を天地逆にしたもの)をベースにしました。

ということで、人案を3案


編集部へのプレゼン

その中から一点をブラッシュアップ。様々な人々。四季(時間)。6色。風船のように浮かび上がるイメージ。などなど密度が高くして、複数のイメージが重なることで見る人によって様々なストーリーが浮かび上がる仕掛けの装丁を合わせて見ていただきました。

どちらが通っても良い仕上がりのもので見ていただいた上で、結果的に先に見ていた「紙吹雪」の装丁に決まりました。

この本を手に取られた方の、気持ちが晴れたり、生き方の背中を押す、応援であり祝福のような優しい本になってくれればと思います。

文責:山田

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