Goudy著「Typologia」を見て

 Frederic W. GoudyはWilliam Morrisの影響をたっぷり受けて、ローマン体の中のローマン体であるヴェネチアンを徹底的に勉強した人のように見受けられる。

Goudy Old StyleやGoudy Catalogue、Goudy Handtooledなどのポピュラーな書体を見ただけでも、書体づくりのスピリットが注入されていることが十分感じられる人だ。同じアメリカ人のMorris F. Benton や Bruce RogersなどものちにGoudyの設計した文字の改刻に参加しているから、よほど尊敬された人なのだろう。僕のおすすめは、後期の代表作といえるCalifornianとかCalifornia Old Styleと呼ばれる書体だ。軽やかで柔らかく品格があり、伸びやかで自由を感じる文字だ。円熟味とはまさにこの書体のためにある書体だ。最高のヴェネチアンといわれる Bruce RogersのCentaurとは対極の無垢な空気感を味わって欲しい。

堀木一男

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