昌徳宮(チャンドックン)日本語パンフレット


ソウルの王城、昌徳宮(チャンドックン)を訪ねた。猛暑の中お上りさんが

各地からやってくるのはいずこも同じ。韓流歴史ドラマでおなじみの王宮だ。元々は離宮だったそうだが、歴代の王に愛されて本来の王宮である景福宮より、実質的な王の居城として長く使われたようだ。入り口の敦化門で案内のパンフレットをもらったのだが、10カ国以上あったのではないかと思うが、各国の言葉に翻訳されたパンプレットのデザインが、目を引いた。レイアウトのメソッドが、一瞥してある人物を思い起こさせたからだ。杉浦康平事務所に長らく出入りしていた、谷村彰彦のことだ。彼は平凡社の地図帳などの仕事で名前を残したが、韓国のデザイン学生と交流があったと聞いている。罫の使い方といい、書体の選定といい、冊子の作り方といい、谷村の息づかいが感じられる冊子のデザインだ。おそらく、彼の薫陶を得た韓国の学生が成長して成した仕事にちがいない。無料で配られるガイドブックとして品格のある良い仕事だと思う。なにより人間の交流が、それぞれの文化に良い影響を与えるようで、嬉しくもあった。喧嘩なかまであり、すでにあちらに籍を置いている谷村に敬意を表するものである。

堀木一男

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