デザインの温度・湿度

展覧会や映画館、駅の構内など、
様々な場所で見かけるテイクフリーの印刷物。
お!と思って持ち帰ったものの中から、
今回は、2つをご紹介をさせていただきます。

 
ひとつは、昨秋、埼玉近代美術館で開催された
「日本の70年代 1968-1982」のフライヤーです。
この色彩、この密度。手に取って開いてみると、
さらにスゴイことになっております。
 
熱風が渦巻いているような呼吸のしづらさに
ちょっと尻込みしてしまいそうになるけれど、
なにやら面白いものがまぎれていそうな高揚感です。
70年代を知らない目には、このギラギラした
サイケデリックな色使いが新鮮に映ります。

 
もうひとつは、「SHIBAURA HOUSE news paper」の
2011年6月号です。
「SHIBAURA HOUSE」は、2011年7月にオープンした、
東京港区にあるワークショップ・コミュニティスペースです。

 
こちらは打って変わって、爽やかで明るく、
すーっと風が通り抜けるような雰囲気。
文字やラインの活版のようなニュアンスは
人のぬくもりを感じさせてくれます。
 
このフリーペーパーをデザインされた smbetsmb さんは、
「PLY.」という、印刷を主とした「人の手による生産行為を
見直す」プロジェクトを運営されていて、
人のつながりを支える場所としての「SHIBAURA HOUSE」と
「人」というキーワードで共鳴しているように思われます。
内容も、デザインも、同じほうを向いていると感じられる、
魅力的なフリーペーパーです。

 
デザインの方向性を決めるときにヒントとなるものは
言葉や色など様々ありますが、
このフライヤーやフリーペーパーと改めて向き合って、
温度・湿度というのも大きなポイントになると気づきました。
こもるような熱のデザイン、爽やかな風のようなデザイン、
人の手の温かさを感じるデザイン…などなど
目で見て、温度や湿度を感じられるデザイン。
心がけてみようと思います。

 

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