ぼおるぺん古事記


日本最古の神話「古事記」をボールペンで絵物語にした
この『ぼおるぺん古事記』。

作者は漫画家のこうの史代さん。ブックデザインは、

祖父江慎さんが代表をつとめる会社「cozfish」の

佐藤亜沙美さんです。

お気に入りの理由は、内容が面白いことは勿論なのですが、

それを引き立てるブックデザインが楽しい!


まず目に飛び込むのは、本の高さの4分の3程もある太い帯。

「古事記なんて古い書物、難しそうだな~」なんて心配は、

この帯の賑やかな文字組とイラストが吹き飛ばしてくれます。

カバーに使われている手触りの良い紙も、

親しみやすい雰囲気を作っています。

そうして本を開いてみると、冒頭にこうのさんの言葉、

それからボールペンでびっしりと書かれた古事記の原文…

目が眩みそうな密度です。

こうのさんの真剣さがひしひしと感じられます。

この部分のみ綴じ方を変えているという凝り方も、

読者のこころをくすぐりますよね。


本編である漫画の部分は、

下部の注釈で言葉の意味を確認しながら読み進めていきます。

漫画としては厚い本ではないのですが、

注釈を確認しつつ読んでいると、結構な読み応えがあります。

それでも一気に読めてしまったのは、古事記本来の面白さに加え、

古事記の世界を読み解き、漫画におこしたこうのさんと、

その漫画の魅力を的確に捉えて本のカタチにした佐藤さん、

おふたりの表現力があってこそだと感じました。

ちなみに以下は本の冒頭に書かれている、こうのさんの言葉です。

「玉のついた矛が

 国生みを助けたように

 玉のついたペンが

 この作品を

 導いてくれるはずだ」

ボールペンと古事記という異質な組み合わせが、

漫画を読んでからこの一文に戻ると

「なるほど!」と納得できてしまいます。

文:田島

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