また手書きの印刷物に惹かれてしまった

新聞折り込みチラシの中に、ふっと見に止まったこの広告。
全面単色で手書きの地味なチラシだが、なぜか惹かれて手に取った。
地元の小さなバス会社のツアー案内広告だ。
旬を重視した欲張らないツアー、心温まるコピー、
出発地が地元でリーズナブルな価格…。
親しい友人が、仲間のために作ったような体裁と内容に
素直に旅に出たくなってしまった。
前回「文庫本のカバーが熱い」でも少しふれたが
書店員の小さな推薦カードで思わず本を手に取ってしまうのと同様
身の回りの過剰な情報の中「パーソナル」的コミュニケーションに
渇望しているところが、私の中にもあることを認めざるを得ない。
カラー刷りで大がかりな大手ツアー会社のパンフレットや
タレントを起用した華やかなテレビコマーシャルよりも
こうした地味なチラシの方が説得力を持っている事実。
マスコミュニケーションに担い手として、印刷物に関わる私たちデザイナーは
何かを考えなければならないのだろう。

しかもこのチラシ(人に指摘されるまで全くの手書きと疑ってなかったが)
実は手書き文字をフォント化して使っていてびっくりした。
アナログを目指すツールとしてデジタルが使われている。
ねじれているとも言えるし、素朴に見えてある意味高度なのであった。
岡野祐三

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