また浮世絵ですか?

鰭崎英朋
浮世絵、最後の美人画
太田記念美術館
2025年5月31日(土)~7月21日(月・祝)
前期 5月31日(土)~6月25日(水)
後期 6月28日(土)~7月21日(月・祝)※前後期で全点展示替え
一般1,200円
図録2,200円

若者の街「原宿」
久しぶりに降りたら旧駅舎が跡形もなくなっていてビックリ。
新しい方の、おしゃれな駅から雨の中を
徒歩5分。小走りで3分という場所に建つ美術館。

太田記念美術館
浮世絵、日本画、水墨画など、和の美術品を中心に
展覧会をする美術館として歴史が古い。
行列をなすような大目玉の展覧会というより、
小ぶりながらマニアックで、通好みの企画が多い感じ。

今回も、
『ひれざきえいほう』という画家を取り上げている。
サブタイトルにもあるように、
「浮世絵、最後」という時代に活躍された画家。

いや〜、知らない。
誰? ひれって読むん?

しかし、ポスターの美人画は
伝統的な浮世絵っぽい型の中に、
そこはかとなく「モダン」とわかる画風が輝く。
いかにもな瓜実顔にちんまい切れ目の伝統的な美人画より、
今でも通じそうなくらい、なかなかの美人画じゃん。
と、まんまと釣られてやってきた。

まさに。新しい時代の風が吹く中に登場した画家でした。

どの絵もとても美人な女性だ。
脇役で登場する男の絵もめちゃくちゃ上手い。

竹久夢二の美人画は、竹久夢二という
作家の上に成り立つ画風で、
実際、あの感じの女性がいたらちょっと引く。
高畠華宵という近代の美人画家もいるが、
モダンがコテコテすぎてちょっと引く。
すまん。好みの問題かもしれない。

鰭崎の画風は、師匠がいて、型を踏襲してモノにした先の
「滲み出る個性」が作るモダンな『浮世絵』という感じがする。
同世代に鏑木清方という画家もいてライバルだったそう。
鏑木清方の方が知られているかも。

今回の展覧会の特徴の一つが、
鰭崎の活躍した時期が、芸術的な価値を高めていた『浮世絵』という木版画から、
石版に移行し、すぐに金属版、まもなくゴムに網点で刷るオフセットに取って代わり
手刷りでは不可能な数の複製を可能にする
効率重視の「印刷」として工業化されていく時代
鰭崎の作品も、時代によって刷り方が変わるので
印刷技術の変化をについての解説が並行してあり、
短時間に木版画からオフセットまでを見る「印刷史」にもなっている。

名が売れ、人気の絵描きになるほど仕事に追われ、
画家として、いずれ画壇で名を残すような活動を遂に成し遂げることはできなかった。
というようなことが解説にあった。
それが良かったのか悪かったのかはわからないが、
こうして雑誌から引きちぎったような「作品」が展示されているのを見ると、
なんとも言えない気持ちにもなる。
今の「イラストレーター」という職業の誕生なのかもしれない。

ところで
太田美術館は作品をとても大事に扱う。
ゆえに、館内がとても暗い。
湿気などの外気も作品の劣化につながりかねないので、
全作品ガラスの中に収めてあるので、
よ〜く見るにも限界がある。

買うつもりがなかったのだが、
細部は結局図録で見るしかない。ということで、
図録もゲットしてしまった。

芸術作品は「本物」を目に焼き付ければ
解説なんて必要ないと、うそぶきつつ。
今回はゆーても作品が「印刷物」なので。もう、
何を持って本物なのかわけわからん。

まもなく後期が始まる。
観に行こうかな。

こんな駅舎でした

写真・文責:やまだ

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