北欧の神秘

北欧の神秘(ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画)

SOMPO美術館 20240323~20240609

前回が岡本太郎展以来かもしれない。

ずいぶん久しぶりの美術鑑賞になってしまった。

「芸術」というと、どうも偏った教育の影響もあるのか、

どうしてもヨーロッパを中心に見てしまう。

同じヨーロッパ圏でも北欧の「芸術」というのは、

どんなものだったのだろう。

興味深い展覧会だと思い、

ずいぶん前にチケットを買っていたが、

結局重い腰を上げたのは、最終日の前日。

損保美術館といえば、高層ビルの上の方にある美術館。

40階相当から見下ろす新宿駅西口の街並み

という印象の美術館だと思っていたら。

いつの間にか移転していた。

ビルが変わり、1階に受付がある、低層階に移動していた。

たしかに、こっちの方が断然行きやすい。

が、せっかく工事中の新宿駅を撮ろうと持ってきたカメラが残念。

仕方なく近所のカゴのようなビルを下から撮ったり、

裾が緩やかに広がっているビルを下から撮ったりしながら

美術館に向かう。

ここで朗報。

美術展の一部の作品が撮影して良いことになっているとの案内。

なので、カメラを下げたまま鑑賞します。

北欧の芸術というのはやはり

北欧らしい景色を描いてなんぼ。

冬の景色は圧倒的で静謐で荘厳。異世界のよう。

が、普通に考えて、「そんなところで絵描いてたら死ぬ」

ということに気がついた。

なるほど。

北欧の芸術の壁をみた気がする。

なので、近代に入るとカメラで撮影した

写真を使って描くようになっている。

それから、ヨーロッパではギリシャ神話や

のちにキリスト教絵画(ばっかり)になり

その反動からやがて自然や、時事的な題材

あるいは内面的なものを描くように変化していくが

北欧でも「北欧的な」神話や自然、

内面的な表現にアイデンティティーを追求していく。

(かのムンクがノルウェー出身で、若い頃の作品が来てました)

そういえば日本の洋画(油絵)って、

「いかに洋画っぽいか」な印象かも。

(めちゃくちゃ失礼かつ、不勉強な発言な気がする)

こういうところは、日本がヨーロッパとの距離があったことと

「仏画」や「日本画」など、それぞれ分解した表現があったので

「油絵」で日本的なアイデンティティーを

それほど強調しなかったのかもしれない。

(日本神話の洋画って見たことないかも)

一部ではあるがその「撮影可」の作品が

「北欧神話」「民族叙事詩」に係累する題材の絵画で

日本の主立った「ゲーム」や「ファンタジー」の

舞台に置く使われる世界観ということもあり

えも言われぬ「本物感」にテンションが上がる。

部分
部分

表現も「ナニコレカワイイ」

イラストの参考になりそうな作品が多く

創作意欲が刺激されたかも。

部分

なにより、全部手描きですよ。

今、こうして鑑賞している自分の位置に

作家がいて、筆を持ち、テレピン油で色を溶きながら

一筆一筆に表現を追求していたわけで。

そういう感覚が久しぶりすぎて、

土日に「疲れた」「ナニもやる気しない」と過ごす自分が

なんだかやるせなくなりました。

また、昔のようにグルグルと見て回るか。

写真、文:やまだ

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