「文庫本のカバーが熱い」のカバー


新聞の全面広告に釘付けになった。
以前このコーナーでも紹介した文庫シリーズの、ドストエフスキーが売れているこという内容である。
前に私が取り上げた時は、装画・装丁にフォーカスしていたわけだが、この広告では
訳者の写真をメインに「新訳」の素晴らしさを前面に訴えている。
いずれにせよ、売れているからこそ打てる広告ではある。
ドストエフスキーが読まれている…そのバックグラウンドに、今の行き詰まった世相があるのは間違いない。
そんな中で読者層はどんな分布なのだろうか。
広告は少なからず若い層を意識しているようだが、実際はもっと広範囲なはずである。
団塊世代あたりの「再読」派もかなり多いのではないだろうか。私自身にも言えることだが、
若い頃読んだこの手の古典は難解だった。悩み多きこの時代に改めて読み直しておきたいという欲求は、
相当あるはずだと思うのだが…
この難しい状況の中で生きていくため、まざまな模索がある。
「蟹工船」「こころ」「罪と罰」…温故知新。「悩む力」が求められている。
岡野祐三

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