「アートが絵本と出会うとき―美術のパイオニアたちの試み」

うらわ美術館にて2013年11月16日(土)から2014年1月19日(日)まで行われてました。


「絵本」といえば、色彩溢れる、楽しくて、明るい、子ども向けのものをイメージしますが、ウキウキした気分で展覧会の入り口をくぐると、ロシア構成主義のグレーな世界が観覧者を凹ませてくれます。
志の高い、ハードな表現主義の一つ。もう、まったく楽しくない。。。
プロパガンダ的な教育目的に溢れた絵本の数々。字は読めなくも、「労働の素晴らしさ」などが描かれているのはドヨ〜ンと伝わって来る。ある意味衝撃的な絵本の数々。


続いて、いきなり日本の絵本。村山知義を中心に「コドモノクニ」からの作品を展開。(以前お気に入りで紹介)

村山知義の絵はかなり良い。初期の絵柄はツボ。しだいに絵本の世界からマヴォと呼ばれる新興美術運動へ進んで行くと、先ほど通って来た共産党系のプロレタリア芸術運動の色が、作品をくすんだ色合いに変えて行く・・・。
さらに歩くと、恩地孝四郎、古賀春江など、やはり「コドモノクニ」の後期までの面々が登場。吉原治良の「具体」という表現運動までは、大学で学んだ美術史の中で見聞きした「歴史上」の表現運動が登場し、牽引した芸術家もすでに歴史の人だったりする。
作品も、もはや絵本と読んで良いものかどうかも怪しい。。。


吉原治良と並んで登場する元永定正の絵本は、僕が姪の為に買った絵本の一つを描かれた方で、やっと今につながる作家が登場してホッとした。また、元永定正の色使いは明るくポップだ。会場の雰囲気も「カラー」な景色に変わる。
僕が買った絵本以外にも沢山の絵本が出ているので、出来れば美術展で販売して欲しかった。後日、著作を探して名だたる大型書店、ブックファースト、紀伊国屋書店、ジュンク堂を巡る事に。。。結果、東京の丸善でやっと買えた。


さらに近代の絵本に関わったアーチストの作品が並び、高松次郎、中西夏之、赤瀬川原平という「ハイレッドセンター」の面々の絵本も。大竹伸朗や李禹煥などの芸術家による絵本を最後に見て展示終了。
まず。
芸術的表現の徹底的な追及と、子ども相手にもマッタク手加減しない志の高さに圧倒された。結果、そのほとんどが二度と再販されないだろう絵本(人気が出なさそうのは勿論、時代の空気を含み過ぎた内容)だ。
ただ、大人の思惑とは関係なく、子どもは子どもなりに世界を汲み取って育つだろうから、勝手な判断で選択肢から落とすのも良くないのだろう。
最近の、何でもかんでも明るく楽しく前向きしか無い絵本ばかりでも、もしかしたら健やかではないのかもしれない。
世界は混沌としていて正解。
昔は芸術家の卵が絵本を描く事も多かったが、最近は聞かない・・・もしかして、いない?
職業として絵本作家が成立しているから?
今回、芸術家の絵本を見た訳だが、グラフィックデザイナーの絵本も有ると思う(ディック・ブルーナとか)。最近は芸能人の絵本も沢山出ている・・・これはいいや。
また、今回はロシアから日本へ飛んだが、ヨーロッパやアフリカ、中央アジア、東南アジア、アメリカ、南アメリカなど、絵本の世界などを見てみたい。どこかのキュレーターさんに、そんな企画をしていただけないものか。。。

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