文庫本のカバーが熱い



書店では文庫本が平積されて、例年のように夏休みキャンペーンが始まった。
そんな時期、娯楽色の強い読書傾向と思っていた息子が、漱石の「こころ」を始め
古典に属する文庫本をまとめ買いしてきた。
「書店では膨大な量の本を前に、何を選んだらよいのか途方に暮れるが
書店員の小さな推薦カードやジャケットデザインの目新しさが後押しになった」と言う。
私も先日「蟹工船」「こころ(ダブってる!)」などジャケットに惹かれて買っていたっけ…
そういえば今年は特に新ジャケットが目に付いた。
活字離れ・出版不況といわれて久しいが、こうした売る側の工夫で
時代を超えて価値を持っている本にスポットが当たり
また売れ出すことが実際にあるということである。
ここに写真で紹介した文庫本は数年前、まさに表紙の絵にひかれて買ったものだ。
この「ちいさな王子(星の王子さまの新訳)」だけでなく、このシリーズは
全てこの人の一筆書きのような不思議な魅力の絵で装丁されており
「カラマーゾフの兄弟」をはじめとした古典作品ばかりであるが
今も平積みでおいている書店をよく見かける。
それだけコンスタントな人気があるということなのだろう。
最近の新訳・新装といった傾向の、先駆的なシリーズだったのかもしれない。
岡野祐三

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