山口晃氏の作品を見にいく
【特別展】 日本画聖地巡礼2025 ―速水御舟、東山魁夷から山口晃まで―
2025年10月4日(土)~11月30日(日)
午前10時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
一般1400円

展覧会のチラシに山口晃の名前を見つけて行くことが決定。
肉筆を見るのは久しぶり。
個展の時に横浜の方まで行った気がするが、それはもう結構昔で、
先日見たのは現代の浮世絵展での版画に刷り上げた小品。
これも良かった。売ってたら欲しかった。
今回の作品は2019年放送のNHK大河ドラマで
オープニングに使用された屏風絵?
見てなかったので知らなかった。
恵比寿に降り立つ。
北へ。10分くらい歩くと見えてくる大きな建物。
「山種美術館」

しかし。実は地下が会場。上はなんだろう?
しかも、コンパクト。これくらいが気楽。
日本画を中心にいろいろな企画で見せてくれる展示。
今回は「聖地巡礼」2025とカウントしているので、
定番のシリーズなのかも。…もしかしたら
過去に同様の企画展見に来たことあるかも。
あ、あれは桜がテーマだったかな。
何度も来ているので記憶が混乱。
問題なし。何度見ても良いモノは良い。
奥村土牛の日本画からスタート。
この人の日本画はぼか〜んとしてて良い。
緊張感というより、おおらかな画風という印象。
見たものを正確に描くタイプではなく、
感じたものを正確に描くタイプという気がする。
竹内栖鳳の風景画も良い。動物が有名だけど、
この風景画は割とざっくりしてる。
あっけらかんとした日常の景色のような。
ふと訪れた旅先で見た景色のような軽さがある。
最奥に配置された奥田元宋《奥入瀬(秋)》は見応えあり。
視界いっぱいに広がる紅葉の美しさと渓流の音も聞こえる。
まさに秋の奥入瀬に来たような心地よい景色。
余分な色をそぎ落としているので
本当に気持ち良い。

東山魁夷や平山郁夫など、格の違う
これぞ「日本画」という絵も良い。
こうしてみると日本画の
新しい境地を切り開こうという意気込みも感じる。
岩絵具の厚塗りは油絵に負けねーぞという気迫。
日本画という平坦なアプローチがベースながらも妙な空気感があり
写実ではないのに、写真的な感覚も感じる。
それでいて、絵に落とし込まれた物語も感じる。
この展覧会、聖地巡礼というテーマだけに
実際に描かれた場所の写真も撮ってきてあり
並べて見ると「画家の意図」を汲むこともできるので面白い。
「現地の写真」「画家の描いたスケッチ」「作品」と見比べると
主役に対して脇役を実際よりかなり小さく描いていたり
パースを平坦にして空間を再構築したりしている。
速水御舟《名樹散椿》は
デザイン的に配置された椿の造形に、
本物の椿が咲いているのかというほどの描き込み。
※展示作品のうち唯一撮影を許している作品(スマホやタブレットでのみ)

日本の北から南までと、海外を舞台にした作品も。
平山郁夫とかね。有名なシリーズもあるし。
そんな、御大の作品の中。今回の目玉は山口晃。
展示作品中、唯一の現役? 若造。
《東京圖1・0・4輪之段》←とうきょうずごりんのだんと読む
江戸、東京の時空を超越した鳥瞰絵図。
その細かさ。細部の遊び。繊細でクセの強い美しさ。
東京五輪の時代の鳥瞰図に当時の暮らしを描き込むという
一枚の絵に「寄り」と「引き」あるいは「室内」が混在する超絶異次元画法。
意図して描かないところや、不思議なオブジェにされた地域
今は無き銭湯に入る庶民や、これぞ山口氏の世界という仏塔化東京タワー
5色の風船爆弾や懐かしの国立競技場などオリンピックのオマージュも随所に。
どうやってこれを描いたのか、なんというか、天才。
端から見てたらいつまでも見てられる。
というか、一番ギャラリーが足を止めている。
作品はもちろん見どころだが
わずかながら手の内を公開していて、ラフやスケッチ(設計図?)の展示と
山口節のコメントもあり、テンション上がる。必見。
しかし。他の作品との差よ。めーちゃーくちゃ「浮いてる」
山種といえば伝統的な日本画の美術館だと思っていたので
現代アートに片足突っ込んでる山口晃の作品をこうしてフューチャーするのは
新しいと思った。

ふと思ったのだが。
正統派の日本画家って、今だと、誰になるのだろう。
(山口晃氏ではないよね)
勝手に平山郁夫が最後の巨匠としてしまっているのだが。
余談。
母方の実家が秩父ということもあり、
子供の頃から化石が好き。
大理石を見ると無意識に化石を探すほどに。
山種美術館のトイレに寄ったら目の前に
無数の化石があってテンション爆発。
おそらく都内でも最強の化石数かも。



余談2
山種美術館の帰りにいつも食べるラーメン。
九十九ラーメン。うまい。


文・写真:やまだ