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『おやすみなさい。良い夢を。』田島未久歩今年の夏、初めて東京国際ブックフェアに行ってきました。お台場にある国際展示場の広い空間に、とにかく本、本、本。図鑑や絵本や洋書など、様々なジャンルの書籍をつまみ食いをするようにちょこちょこ楽しみながら歩いていたら、装幀コンクールというコーナーに辿り着きました。そこには造本装幀コンクールの入賞作品が並んでいて、どれも目の覚めるような、素敵な装幀の本ばかり。そこで、『おやすみなさい。良い夢を。』という本を見つけました。手にした瞬間、お気に入り決定。うまく言葉にできませんが、装画も、紙も、重さも、すべてがタイトルの『おやすみなさい。良い夢を。』という言葉に「ピタッ」とつながっているような感覚です。そして帯が上がっちゃってるなと思って下ろそうとした時、ハッとします。カバーと帯がひとつの紙で、折り返されているのです。この宙に浮いているような無重力感も、ふとんに包まってうとうとしている時間とそっくり…(のような気が)。他にも、花切れがパジャマの柄のようで可愛かったり、のどに控えめに色が差してあったりなど、嬉しくなってしまうアイディアが随所に散りばめられています。これだけ盛り沢山だと押し付けがましくもなりそうなのに、そうなっていないのが不思議ですが、様々なアイディアが集まったその中心に『おやすみなさい。良い夢を。』という言葉が芯のようにすっと一本通っているからではないかと思います。が、本当のところはどうなのでしょう…? たくさんのアイディアをまとめる方法、とても気になります。デザイナーの方にお聞きしたいところです。ところで、そのデザイナーさんに関しても、うれしい驚きがありました。私が以前お気に入りとして紹介させていただいた『ku:nel』と『おやすみなさい。良い夢を。』は、どちらも有山達也さんが関わられているデザイン! 気づいたのはつい最近。「あ~やっぱり惹かれてしまうんだなあ」と、うれしくて、ちょっとくやしいような気もする発見でした。『おやすみなさい。良い夢を。』というタイトルですから、もちろんベッドに横になって読んでみました。すると、ふんわりした軽さは腕を疲れさせないし、帯がずるずると落ちてくることもないし、ゆったりした文字組は気持ちを落ち着かせてくれる。やっぱり、「ピタッ」としていますね。『紙とデザイン』飛鳥井羊右株式会社竹尾 創立100周年記念紙とデザイン竹尾ファインペーパーの50年2000年刊株式会社竹尾の100周年記念の社史です。その中の企画に50年の歴史を持つファインペーパーを、竹尾社ゆかりのデザイナー50人が1人1銘柄(計50銘柄)を選び、その紙にまつわるエッセイと共に紙を使用した作品を紹介しています。箱入りの上製本(ハードカバー)で、竹尾の見本帖本店で売っていたようです。僕は印刷博物館のミュージアムショップで買いました。この本には並製本(ソフトカバー)もあり、そちらの方が安いのですが、上製本にはファインペーパー50銘柄の紙(実物)が見本として綴じられています。デザイナーが紙について語り、その紙を使った作品が掲載され、実物の紙が綴じられている。これだけ多種の紙を使った本は、とても贅沢な作りだと思います。普段、仕事で紙を選ぶ機会がそれほど多くある訳ではないのですが、選ぶ機会があるときには、デザイナーとしての提案という形でなにかできたら良いなと思いました。

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