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CONVIVIA COLOR14「PUSH PIN」山田純一1950年代初頭からアメリカで誕生したデザイン・グループ「PUSH PIN」。その制作スタイル、表現力、作品群はアメリカのグラフィック界に衝撃を与え、そのまま日本にも伝わった。 「絵好き」を自負する僕ですが、その視線や興味は、ほとんどアニメや漫画の方ばかり向いていて「イラストレーション」については全くの無知。勉強不足。 ぶらりと寄った銀座グラフィックギャラリーで公開されていた展覧会『THE Push Pin PARADIGM』。 そこには、粟津潔、宇野亜喜良、横尾忠則… えーと、名前が出て来ないけど、他にも60年代から活躍して来たデザイナー、イラストレーターの作品の中に「見た事ある」テイストが盛り沢山。日本のデザイン、イラストレーションに強烈な影響を与えた事が「見て」わかる。あらゆるイラストレーションの原点があり、今でも遜色無く使えるアイデアの博覧会。見本市。バーゲンセール。 「PUSH PIN」の活動期間の中から数多くのイラストレーター、グラフィクデザイナーが登場しているようですが、今回の展覧会ではキギ田島未久歩最初は、1枚のフライヤー。 『オリッサ・オディッシー 東インドの踊りと暮らし展』という展示会の開催を伝えるそのフライヤーは、早くも無難なデザインのマニュアルを探し始めかけていた私の目に、はっとするほど鮮やかに映りました。 「デザインは正解がないからこそ、いくらでも面白くなる。」そのことを私に教えてくれたこのフライヤーは、植原亮輔さんのデザインでした。 次は、gggで開かれた『TDC展』。 様々なタイポグラフィ作品の中に、渡邉良重さんの「12 Letters」がありました。 一度触れたら忘れない、やさしくて、どこかひっそりとした、渡邉良重さんの美しい世界。渡邉さんの作品も、ものをつくることの喜びや、自由であることの面白さをはっきりと感じさせてくれるものでした。 そうして私にとって自由の象徴となっていたお二人が「キギ」として再スタートされました。 その出発点である今回の『キギ展』には、「シーモア・クワスト」「ミルトン・グレーザー」「ポール・デイビス」「ジェームズ・マクミラン」の四人をピックアップして印刷物や原画などを交えて、200点ほど展示していました。しかし、この四人が描いてきた様々な表現、あらゆるタッチのイラストに圧倒されます。 ブラックなユーモアから、ただフザケただけのようなタッチ。イラストの中に吸い込まれるような表現から平面を飛び出し、迫ってくるような圧力を感じるタッチ。時間や感情、雰囲気まで表現しうる表現の幅。ディフォルメされていくことであらわになる内面。テーマ。メッセージ。イラストレーションて、まだまだ何でも出来る気がして来た。今までにお二人がそれぞれ、あるいは共同で取り組まれた作品が会場に所狭しと展示されていました。 そのどれもがユニークで、じっくり見ていたいものばかり。 しかしファンの多いお二人の展示会は当たり前に訪れる人も多く、ひとつの作品の前に何分も、というわけにはいきません。帰り掛けには迷わず作品集を購入しました。 実際に貼り重ねているようにしか見えないコラージュ風のカレンダー、透けることで展開していく絵本、シャンプーの詰め替え用パッケー 反面。最近見て来たグラフィックデザインやイラストの中にも「プッシュピンが原点だったのか」と思えるものがいくつか。様々なデザインも、手描きがデジタルになり、より細かく、洗練されてはいるが、その基本となるアイデアや表現の多くは、まだ、ここ、この範疇から脱する事が出来ていないのか? とも思えた。とはいえ、こっちが先だからオリジナルで、以降はマネ。とかでは無く。過去の様々なテクニックを、知ってやるのと知らないでやれないのでは大きく違う。たとえ同じ様に描いても、時代の空気を含むことで今の表現になっていくと思う。色々見て、学んで、片っ端から引き出しに放り込んでおきたい。ジから生まれた花瓶、鏡の映りこみを利用したカップ&ソーサーなどなど… キギの作品集を眺めていると、植原さんのフライヤーや渡邉さんの作品を目にしたときのわくわくした気持ちがよみがえります。 そして本を閉じたときには、「やっぱりデザインは面白い!」と、にんまりしてしまうのです。 (巻末には植原さんと渡邉さんへのインタビューも載っていて、「キギ」という名前の由来や、デザインへの考えなど、とても興味深いです。気になる方はぜひ。)works from other designers

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