CONVIVIA COLOR_4
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14Convivia Color 4化学の力を駆使して生命現象の解明に挑む──それがケミカルバイオロジー(化学生物学)である。その中で、微生物などがつくり出す化合物を細胞に作用させ、どのタンパク質に働き掛けるのか、どのような変化が起きるのかを詳しく調べることで、遺伝子と機能を結び付けようというのが、ケミカルジェネティクス(化学遺伝学)だ。それにより複雑な生命現象が解き明かされ、さらにはその化合物が新しい治療薬につながる可能性も高い。理研では、ケミカルジェネティクスを大規模化して全ゲノムを対象とするケミカルゲノミクスも本格始動。基礎研究と応用研究の両方から熱い期待が寄せられる、最近話題のケミカルジェネティクス、ケミカルゲノミクスの最前線を紹介する。吉田 稔基幹研究所ケミカルバイオロジー研究領域ケミカルゲノミクス研究グループグループディレクター研究最前線ケミカルゲノミクスによって明らかになってきた細胞の制御機構吉田グループディレクターは、これまでに微生物がつくり出す化合物や、それを改変した化合物を使い、標的となるタンパク質を特定してきた。その結果、遺伝子発現やタンパク質の輸送など、細胞の重要な機能の仕組みが、次々と明らかになってきている。イラストは、正常な細胞の機能を描いている。化合物はそれぞれ特定のタンパク質に結合し、正常な働きを阻害する。で生命現象に迫り、創薬を目指すケミカルジェネティクス核トリコスタチンAトラポキシンスプライソスタチンAレプトマイシンBHDACに働き、ヒストンの脱アセチル化を阻害する。その結果、遺伝子の発現が促進される。SF3bに働き、スプライシングを阻害する。その結果、核内に未熟なmRNAが蓄積したり、イントロン部分も翻訳された異常なタンパク質がつくられる。CRM1に働き、タンパク質を核の中から細胞質に運ぶ核外輸送を阻害する。HDACDNA転写アセチル基ヒストンmRNA前駆体イントロンエクソンSF3bCRM1タンパク質核膜孔細胞質CRM1スプライシングmRNA核外へ細胞核外輸送翻訳制作過程監修の先生から頂いた資料を元に編集者が描いた概念図編集者との打ち合わせで内容を理解し、見る人に解りやすくなるようにと描いた線画。これで監修者のチェックを受ける。イラストは、実際にはこのように使われました。文字の量や図の詳細さなど、解りやすさと柔らかさにこだわりました。柔らかな雰囲気になるように淡く色をつける。風合いのある紙のテクスチャを重ねる。理化学研究所広報誌「RIKEN NEWS」 2008 December No.330掲載編集発行 :独立行政法人 理化学研究所 広報室制作協力 :有限会社フォトンクリエイトデザイン :株式会社デザインコンビビア

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